医薬品のモノづくりの歩み【第6回】

「モノづくり」の意識を醸成するために取り組むこと

 今回は、医薬品製造に携わる先輩たちから受け継がれてきた「モノづくり」の意識醸成に向けた取り組みについてお話したいと思います。
 医薬品を製造することにおいて大切なことは、同じ「モノづくり」の中にあっても、人の命に係わる生命関連製品を作っているという意識です。
医薬品の本質的な品質、つまり有効成分が体内で期待通りの効果を発揮するという品質は外からでは見ることができません。従って、医薬品製造において最も大切なことは、決められたルールであるGMP基準を順守して、SOP通り正しく製造することです。
そのために常日頃から、GMPに関する知識を深め、品質意識を高めることを忘れてはいけません。
 医薬品を製造する医薬品メーカーは、いつでも必要な時に必要な医薬品を患者に届ける社会的使命を担っています。従って、製造を担う工場では、医薬品の安定供給のために、日頃から職場の5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の徹底に心掛け、設備の自主保全を主としたTPM活動により安定稼働に努めます。また、安全衛生や環境保全に心掛け、労働災害や環境汚染により、操業が停止しないよう安定操業に努めると共に、生産計画や在庫管理の不備により欠品が生じないよう精度の高い生産計画の立案と生産管理に努めます。
 第4回で、製造現場で発生する様々な問題や課題に対して、的確に対応するための問題解決能力、つまり現場力を発揮することが大切であることに触れました。
 製造に携わるひとり一人が、あるいは、製造を支える関連部門のひとり一人が、医薬品を作っているという自覚と責任を持って、品質(Quality)、生産性(Cost)、安定供給(Delivery) と安全衛生(Safety)、環境保全(Environment)と言った「モノづくり」の基本的な知識を身に付け、その知識レベルを高めて行くことにありました。更に、自らが担っている仕事に必要とされる技術や技能を磨いていくことで、現場で発生する様々な問題や課題に対して的確に対応できる知恵を身に付けることでした。
 医薬品の製造は、多くの工程が組み合わさり、それを支える様々な部門が連携して行われるもので、決して一人で成しえるものではありません。製造に携わる多くの仲間や関連する部門が関わったチームで行われます。従って、様々な問題や課題に対して、その共通する職場の仲間や関係する部門の仲間が一緒になって解決に向けて取り組みます。それが、いわゆる小集団活動と言われるもので、これは生産現場から誕生したいわば「ものづくり」のDNAと言えるものです。
 製造に関わる誰もが「モノづくり」に関する知恵を身に付けることで、お互いに問題認識を共有することができ、双方向のコミュニケーションが円滑になって、一体感のある組織としての力強い現場力を発揮することができます。そして、小集団活動が展開することにより、更に大きな成果を生むことができます。

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