製薬用水の実践知識【第11回】デッドレグルーツの話
はじめに
製薬用水配管において、「溜まり」となる箇所をデッドレグと呼んでいます。
「基準点からの距離を枝管の径に対して6倍まで許容する」というのが「6dルール」です。無菌あるいは、限りなく無菌に近い環境が求められる製薬用水施設において、デッドレグを無くすことは必要不可欠と認識されています。
1.6dルールとの遭遇
6dという言葉に初めて遭遇したのは、1980年ごろフィンランド製注射用水製造用蒸留器の技術資料中にデッドレグ≦6dという記述を見つけた時だった。
この資料には、米国においてLVP(大容量注射剤)の製造施設基準に、「6dルール」があり、この蒸留器構造は、「6dルール」に合致していることが記載されていました。
LVPは体力が弱った患者へ点滴剤として、体力維持を目的に大量に注射投与されます。LVPに微量でもパイロジェンが含まれれば大変なことになります。
この6dルールは、LVP製造施設内に異物混入が起こるリスクを想定し、その要因となる微生物増殖を防止する手段として、LVP製造施設配管部において、移送中に温度低下が起こらないようにする対応策を徹底したことが背景にあります。
LVP製造原料の大部分を占める蒸留水を、蒸留器から流出した温度のまま、高温保持しつつ、調合・充填されることが目論まれ、6dルールはこのために必要だったのです。
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