医薬品工場に求められているHSE要件と事例【第22回】

「あなたの会社工場のTop5リスクに品質のリスクが入っていませんか」

1、  製薬企業のあるべき姿

製薬企業の国際化が進む中、企業の多様化を配慮した製薬工場の各種取り組みが求められるようになってきました。製薬企業、特に工場は大変厳しいGMPの法律を守り、患者様の医薬品使用に対する安全品質を担保せねばなりません。つまり、品質のリスクを管理して、日々安全安心な医薬品を継続供給し続けなければなりません。リスク管理の観点で言うといずれの工場も品質のリスクはゼロではありません。リスク評価結果で分かることですが、大なり小なりのリスクが存在していることが考えられます。これを物理科学的に顕在化し、そのリスクが患者様の生命にかかわるような重大な即時リスク低減が求められる重大リスクであるか、許容できるレベルのリスクであるかを優先順位付けして優先順位順にリスク低減対策を実行し、許容できるレベルにしなければ製品として患者様に提供できません。さて、筆者はこれを客観的に工場長さんに伺います。あなたの工場のTop5リスクに品質のリスクが入っていませんか?多くの工場長さんはNOと答えられるでしょう。それではTop5をTopリスクから順に項目上げしてください。という質問に対して急に答えられなくなる工場長さんが多いのに愕然としています。Top5が答えられない工場長さんに品質のリスクがTop5に入っていないと言い切れるのでしょうか?一方、残念ながらTop5の何番目に品質関係のリスクが入っています。とお答えになる工場長さんは大いに信頼のできる品質の製品を患者様に供給し続けておられる可能性が高いと考えます。なぜなら、答えられる工場さんはリスクアセスメントを行い評価結果をマネジされていることが明確だからです。つまり、どのような品質関連のリスクがどこでどのような患者様への重大性があるのかを評価結果の判断基準で患者様への影響を物理科学的に分析して法的にGap分析も行い、許容できるリスクレベルであることを確認して文書に残し、製品供給に至るプロセスが信頼できる進め方をされている可能性が高いのです。多くの場合、リスク低減に大金がかかるので出来ていませんと平気で答える工場長さんもおられるようですが、リスクマネジメントとお金は別の議論ですので理由にはできません。許容できないリスクが残存している間は製品を良品として出荷できないことはどなたも承知されていることと思います。一般的にはグローバルスタンダードで作りこんだリスクマネジメントシステムを駆使してマネジメントシステムを廻す場合にOut PutとしてTop5リスク(場合によってTop10,Top3などStandard次第)を社内にリスクマッピングで顕在化し、同時にRegulation GapをGap Analysis、5W1Hでいつまでに担当者が誰でどのような対策を行うのかマネジしてKPIで進捗管理し、工場長に逐次報告を行います。工場長さんは内容次第でリスク低減対策予算を確保すると同時に年次活動計画に計上して会社ぐるみで協力して対策後再評価により、リスクが許容レベルになるようマネジしてゆきます。これが大原則で工場長さんはいやでもTop5リスクが熟知できていなければなりません。

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