【第2回】オランダ通訳だより
「夏至の頃」
6月のオランダは、一年で一番さわやかなシーズンです。好天なら日中は25度前後、空気がカラっとして日陰は涼しく、汗も出ません。日照時間がピークに達するのは、夏至をはさむ一週間で、午前4時半には空が白みはじめて、夜の帳が落ちるのは23時頃です。カフェテラスは、夜遅くまでビールを飲む人で賑わいます。多少肌寒くても、カフェがひざ掛けを用意しているので大丈夫。この月は、オランダでも国際見本市やイベントが多数開催されるため、週によってはホテル料金が高騰しますが、それでも欧州を満喫するなら、この時期がベストです。
さて、前回の投稿からちょっと間があいてしまったので、仕切り直しで自己紹介を兼ねた話題をお届けしたいと思います。でも、どんな人間か知っていただくために、不特定多数の方に向けて何かを書くというのは、経歴紹介と違ってなかなか難しいものですね。思いつくままに書かせていただきますが、よろしければおつきあいください。
まずは出身地から。生まれも育ちも兵庫県ですが、父が東京出身なので、家では標準語、学校では関西弁(阪神間MIX)でした。これもひとつのバイリンガル。中身は関西仕様なので、会話に笑いがないと落ち着かず、つい冗談を言いますが、それを関西弁でやってしまうと適度なフォーマルさを保つのが難しくなるので、通訳の仕事では、標準語を使うことにしています。関西人の同業者に「てっきり東京の人だと思ってました」と言われたり、お客様から「え!大阪の人なんですか?」と言われると結構うれしいので、関西人であることにコンプレックスがあるかもしれません。
いまでこそ理系通訳を名乗っていますが、根は完全な文系です。幼少期も、数字よりもひらがなの覚えが早く、よくしゃべる子どもでした。中学受験で通った進学塾では、数学のコマは本屋で漫画を立ち読みしてやりすごし、国語のコマはいつも楽しみで、有名私立校の過去問を解く演習も、灘中志望の男子を差しおいて、一番乗りで提出したものです。高校時代には英文科への進学を希望していましたが、周囲から「行けるのなら薬学部に行くべき」と強く勧められて、薬学部を選びました。人のアドバイスは素直に聞くものですね。
コロナ前に、医療機器のPMDA査察でご一緒した査察官が、やはり薬剤師の方でした。少しお話ししたときに、「薬剤師でなぜ通訳を?」と訊かれました。もとは文系だったんです、数学はどうも苦手で、とお答えしたら、「僕もそうです、薬学は理系のなかの文系ですからね」と仰って、すっかり腑に落ちたのでした。
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