【第1回】オランダ通訳だより

「オランダ通訳だより」

はじめまして。オランダ在住の通訳者、古田泉(ふるたいずみ)と申します。このたび、GMP Platformで連載を担当させていただくことになりました。製薬やGMP監査に関連することも織りまぜながら、オランダや欧州の話題をお届けする予定です。どうぞよろしくお願いいたします。

私のGMPとの出会いは、10年以上前にさかのぼります。日本の製薬会社から、オランダで実施するGMP監査の通訳をご依頼いただいたのがきっかけでした。薬剤師ではありますが、通訳実績のない分野だったので、当日までICH Q7の原文と和訳を何度も読み返しました。

原薬製造所での2日間の監査は、日本から来られた監査員が知識と経験でフォローしてくださり、無事に終わりました。さらには「履歴書にGMP監査も書いたらいいですよ」と、背中を押していただき、とても恵まれたスタートをきりました。それ以降、数社から直接依頼をいただくようになり、他分野と並行して、細く長くGMP監査通訳を続けてきました。

ところが、2020年3月にパンデミックで国境閉鎖。日本からの出張者の流れが止まり、通訳の仕事も止まりました。不安のなか3か月ほどすると、ウェブ会議が普及しはじめて、オンライン通訳の需要は増えはじめましたが、いつものお客様が再び欧州に来られたのは、それから1年と半年後。現場のGMP監査通訳が戻ってきたのは、それからさらに1年後でした。

「コロナ明け」の実地監査第一弾が決まって楽しみにしていたら、製造所側の都合で1日しか訪問できないという話になり、(監査員の長旅を無駄にしてはいけない。必要な情報をきちんと得られるようにがんばろう)と腕まくりで臨みました。
 

 

 

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