ゼロベースからの化粧品の品質管理【第29回】

化粧品GMP手順書の作り方 ⑩委託管理手順

 化粧品の品質管理についてお話させて頂いており、今回は⑩委託管理に関する事項についてお話させて頂きます。
 最近では、ファブレス方式の製品調達を行っている企業が増えています。委託管理の話というとこの外部委託生産における管理体制の話に限定されがちですが、GMPの要求はもう少し幅広い業務が対象になります。今回はGMPの要求事項に基づき必要とされる委託先管理について説明させて頂きます。

1. 委託先管理の概要

 製造業者が、薬事法及び化粧品の製造管理及び品質管理に関する技術指針(平成20年6月25日制定、「化粧品GMP」と略称する。)に則り、業務の委受託に関する取決め、相互確認、管理の方法を定めることが必要です。対象物質は、原料、資材、製品の受入れから最終製品の出荷に至るまでの全ての生産、試験検査および製造所の設備や環境の維持管理等により生じる廃棄物全般が対象になります。QA、QC、製造(バルク製造、充填・包装仕上げ作業)、インフラに関する業務で外部に委託している業務を拾い出すことが必要です。

1.1.    委受託に関する手順

① 受託者が業務遂行可能な資格・技能・人員を有することを評価・確認し、それぞれの義務及び責任を取決め、契約書又は合意書を作成し、双方で管理する。すべての記録を保管し、必要に応じ委託業者が利用できるようにしておくことが必要になります。
 
②    新規外部委託業者の適性・能力確認
評価については、製品への影響のリスクおよび製造所内でコントロールできる状態なのか、外部で常には状況が把握できない状態なのかに層別して管理することが現実的です。
共通事項としてはトップの事業に対する関与と品質等に関する意識です。経営数字のみに関心が高い経営者は、品質や業務パーフォーマンスに関してコスト面から軽く扱われる可能性があるため要注意です。
 

③    既存外部委託業者の適性・能力確認
定期的な評価と臨時の評価が必要です。臨時の評価は、自社のトラブル発生時は当然必要ですが、業界や行政の要求が発生した場合には実施することが必要です。
定期的な評価は、マネジメントレビューのインプット情報の重要事項にもなりますので確実に評価方法、基準を決めて実施することが必要です。1か月毎や半年毎、Ⅰ年間の実績から適正および能力を評価し、継続して活用できるか判断します。製造所ですので、QCDの面から逸脱事項、要望に対するレスポンス状況、改善に対する評価等、総合的に評価することになります。
 

 

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