医薬品設備建設における「オーナーのプロジェクトマネジメント2nd改訂版」【第17回】

試運転ステージのプロジェクトマネジメント

(1)概要
 プロジェクトには、プロジェクトの各ステージにおいて多数の課題があるが、特に試運転ステージにおいてはプロジェクトが重大な変更を受ける可能性がある。試運転ステージの作業が終了しても、それでプロジェクトが成功したということにはならない。まず、第一にプロジェクトの品質を、第二にプロジェクトのスコープ、スケジュール、コストが、目的を達成したかという点が重要である。

 試運転ステージにおいて重大な変更を受ける可能性として、一般的には以下のような要素がある。

  • 機器/装置の納期の遅延
  • 工事の遅延
  • リソース割り当ての混乱
  • 要員の交代
  • 文書の欠如
  • テストの失敗

 これらの事象は広範囲に影響するため、このような事象が発生しないように、プロジェクトマネジメントを適切に行う必要がある。

 プロジェクトの試運転ステージでの変更は、その影響を慎重に評価した後に実施すること。また、試運転ステージにおいても、他のステージと同様なプロジェクトマネジメントを実施すること。一般的には、設計や製作・施工ステージではプロジェクトマネジメントの大部分をコントラクターに依頼しているが、試運転ステージでは製薬企業側の関与する部分が大きく、したがってプロジェクトマネジメントについても製薬企業がかなり主体的に行う必要がある。特に、試運転ステージの後半では製薬企業単独でプロジェクトマネジメントを実施しなければならないので、留意する必要がある。主な項目は以下である。

  • 計画と照らし合わせたスケジュールと予算のレビュー: 予備費の追跡、およびスケジュールバッファの消費状況を管理する。
  • リスクレビュー: 品質、安全、プロジェクトリスクと事業リスクなどのレビューと、リスク低減計画のトレースを行う。
  • 現場でのビジュアル・レポート: テストチームをとりまとめ、それぞれの業務に必要な情報をビジュアル的に展開し、管理、報告を行う。
  • マネジメント・レポート: ステークホルダーに重要なメッセージを伝達するためのワンページ・アプローチを使用する。

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