経歴
GMPコンサルタント 1984年神奈川県庁に入庁。1997年国立公衆衛生院(現在の国立保健医療科学院の前身)でGMP研修を受講後、薬務課及び小田原保健所等で医薬品等の製造販売業、製造業の許認可、審査、指導を主にGMP・GQPリーダー査察官として16年にわたり活躍。その間、MRA(日・欧州共同体相互承認協定)締結の際のEU調査、2005年製造販売承認制度の施行に携わり、PIC/S加盟にあたり、厚生労働省の委員等委嘱を受け、次の活動に参加した。 ・平成20、21年度 GMP/QMS調査・監視指導整合性検討会委員 ・平成21、22年度 厚生労働科学研究~GMP査察手法の国際整合性確保に関する研究 2012年に神奈川県庁を退職後、医薬品原薬輸入商社、製薬企業、コンサルティング企業で品質保証やGxPコンサルタント業務に携わる。2025年6月よりGMPコンサルタントとして独立、現在に至る。
2019/03/01 AD 品質システム
GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第18回】
1.伝言ゲームと転記 伝言ゲームで、最初から最後まで正しい言葉が伝わることは難しい。会社組織の中で、上司が部下に命令をした時、その内容を部下が100%理解していることはないだろう。部下がどこまで理解しているかを上司は確認すべきである。GMPでは、定常的な作業などは手順書に記載し、教育訓練を行ったうえ
2019/02/01 AD 品質システム
GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第17回】
1.責任転嫁とやるべき論 製造所からの出荷可否判定は、製造記録及び試験検査成績書に問題のないことを確認して、決定される。出荷可否判定書とともに製造記録と試験検査成績書を束ねて保管される施設もあろう。では、保管についての責任は規定され、責任部署が明確にしているか確認が必要である。データインテグリティが
2019/01/07 AD 品質システム
GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第16回】
1.指図書、手順書の誤記 指図書や手順書の誤記を査察等で指摘されることも多い。誤記により作業等に間違いが生じ、品質に影響することが懸念されるからである。しかし、多くの製造所で詳細な指図や手順を作成し、悩まれているところも多いと思う。例えば、予備混合で手混合を5分間や10回と規定し、その時間や回数まで
2018/11/30 AD 品質システム
GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第15回】
1.品質方針と使命 GMP省令が改正され、上級経営陣の責任についての条文が新設されるようだ。上級経営陣の責任は、ICH Q10医薬品品質システムガイドラインで求められていたが、法令化されることにより、今まで、指導の範疇であったものが、GMP省令違反となることを認識しなければならない。上級者経営陣の責
2018/10/29 AD 品質システム
GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第14回】
1.見える化と情報共有 予防措置として、横展開するために「見える化」は重要である。しかし、それはただの報告会として終わってはならない。GMP委員会やマネジメントレビューにおいて、逸脱の報告をすることは、多くの製造所で行われている。これは、逸脱の「見える化」として、重要ではあるが、その実効性として、有
2018/09/21 AD 品質システム
GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第13回】
1.教育訓練の徹底 例えば、逸脱、特にヒューマンエラーでその再発防止策として「教育訓練の徹底」としていないだろうか。神奈川県庁薬務課に在籍していた時、回収等の違反で、その報告書に「教育訓練の徹底」と記載されるケースを目にした。しかし、「教育訓練の徹底」では、是正措置になっていないと受け取らないことも
2018/08/17 AD 品質システム
GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第12回】
1.不平不満 GMPの現場だけでなく、いろいろな職場において不平不満はあると思う。その不平不満をただの文句と片付けていないだろうか。実際の作業でやり難さなどがあるはずである。実は、そこにヒューマンエラーなどの逸脱やヒヤリハットの要素を含んでいることは多い。従事者がそこに問題意識を持ち、そのやり難い状
2018/07/20 AD 品質システム
GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第11回】
1. ハードとソフト GMPでの作業環境は衛生管理基準書で求められる。衛生管理基準書として、作業者の健康、更衣、設備の清掃や防虫管理等を主に規定することが求められている。医薬品製造所の設備については、薬局等構造設備規則でその基準が定められている。しかし、GMPはハードとソフトのバランスであり、異物混
2018/06/01 AD 品質システム
GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第10回】
1. 断捨離 「断捨離(だんしゃり)とは、不要な物を減らし、生活に調和をもたらそうとする思想」1) とある。査察等の際、医薬品製造所の製造室に使用しなくなった設備があると、異物混入や交差汚染の原因となるため、撤去するよう指導される。原材料や資材の場合は、混同防止の観点から、撤去するよう求められる。で
2018/05/12 AD 品質システム
GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第9回】
1 犯人捜しと叱責 ある人に「GMPは犯人探しだから嫌いだ」と言われたことがあった。その人の言い分は、記録には作業者や実施者を記載し、逸脱等の処理において、その記録に逸脱の原因を記載しなければならないからである。製造記録や試験記録には、その実施した作業者や試験者を記載しなければならない。逸脱がヒュー