「マラソン」第7回

17 東京の山
2018年4月、東京での生活がはじまった。

東京生活、最初の1週目。
忘れもしない。
人生で一番疲れた1週間のように感じた。
まったく知らない人の中で、仕事のことも教えられず、そして恐ろしいほどのメールが飛び交うなかで、自分の仕事を把握し、行っていく。
初めから即戦力として見られていたのか、当時の上司から遠慮なく怒号が発せられる。
「ここで2年間やっていけるのだろうか。」
その時は、そう思った。

引っ越しの関係で、1週目の土日は京都に戻った。
戻ってすぐに、行ったのは山だった。
見慣れた山、大文字山。
心が安らかになったことを覚えている。

「2年間だけ。頑張ろう。」
そう誓って、また東京に戻った。

2週目、1週目よりは慣れ、仕事が少しでき、1週目ほどの疲れはなかった。
「よし、週末は東京の山へ行こう」
そういう元気も出てきたのだ。

最寄り駅から電車で1時間強揺られ「高尾山」に到着した。

どうやら高尾山の山頂に登るルートは複数あるようだ。
最初はオーソドックスなルートから登ってみた。

「…地面が固い!!」
高尾山の最初のイメージはこれだった。
おそらく多くの人が訪れ登っているため、地面が踏み慣らされているのだろう。
京都一周トレイルも固いが、高尾山に比べればよっぽど柔らかいと思った。
 
そして難なく山頂へ到達した。
売店などもあり賑わっている。
「さすがだな~」

普通の人ならこれで満足し下山するところだと思うが、私は奥に進んでみることとした。
事前に調べていたところ、多くのトレイルランナーが小仏峠を経て陣馬山まで行き、それをまた帰ってくるものであった。
おおよそ30キロ。
山であるため、当然長い道のりである。
ただ今の私であれば、30キロは短い。

高尾山以降は比較的走りやすいコースで快適に30キロほどを終えることが出来た。
ただ、感想としては、地面が固いし、なんせ往復電車で時間とお金がかかるというものであった。
東京でトレランを続けるのは大変だ…と当時は思っていた。

 

 

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